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2014年1月31日 (金)

民法772条なぞなぞ(笑)

「なぞなぞ」です。

①昨今報道されている大沢樹生さんと喜多嶋舞さんとの間の長男をめぐる問題について、

 あなたが大沢樹生さんだとして、長男は、自分の子と言えるか? 

 

②A(男)は、60年前の1953年、大阪市内の産院で生まれた。育った家庭は、父が2歳の時に亡くなり、経済的困難から、中学卒業後に就職を余儀なくされ、その後も生活に苦労した。ところが、60年近く経った2009年、同じ産院で同日産まれたB(男)の弟らが「Bと自分たちは容姿も似ていない」と不審に思って、BのDNA鑑定の結果、BとAが出生直後取り違えられて、それぞれ実の両親と異なる夫婦のもとで育てられたことがわかった。Aはその事実を知り、ショックを受けた。

 なお、Bの育ての両親は裕福で、子供は皆大学を卒業し、Bも父の不動産業を手伝い、独立して経済的に成功した。Bの育ての両親(つまり、Aの実の両親)は、既に死亡しており、Aはもう会うことは出来ない。

 Aは、育った父の子と言えるか? 

 

③A(男)とB(女)は夫婦であり、Aは慢性骨髄性白血病に罹患し、インターフェロン注射と抗がん剤の投与を受けていた。婚姻の後、AB夫婦は、子供を授かりたいと願い、不妊治療を行い、人工授精を試みたりしたが成功しなかった。その後、Aは、白血病の治療のため骨髄移植を行う事を決意し、骨髄移植をすると大量の放射線の照射を受けて無精子症となって生殖能力が失われることを危惧し、移植前に、自身の精子を冷凍保存する事とした(平成10年保存)。

 骨髄移植の手術は成功したものの、Aの予後は悪く、平成11年、死亡した。

 妻であったBは、Aの死亡後、Aの保存精子を用いて懐胎することを決意し、Aの両親にも相談し賛成を受けて、保存精子による体外受精を行い、平成13年、子Cを出産した。

 Cは、Aの子と言えるか? 

 

④Aは、生物学的には女性であることが明らかだったが、平成16年、性別適合手術を受け、平成20年、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項の規定に基づき男性への性別の取扱いの変更の審判を受けた。戸籍には、変更の審判の発効の記載がされた。

 Aは、平成20年、女性であるBと婚姻した。Bは、Aの同意の下、A以外の別の男性の精子提供を受けて、人工授精によって懐胎し、平成21年、子Cを出産した。

 Cは、Aの子と言えるか? 

なお、問いで「○は△の子と言えるか?」は、問題文に書かれている諸事情を総合の上で、法律上父子関係が認められるか否かという視点で結論を述べて下さい。

仲良しの大畑弁護士が作って下さった問題なのですが,良く出来ています。

・・さてさて、みなさま、何問正解できるでしょうか?(笑)

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2014年1月14日 (火)

最高裁で新たな判断〜喜多嶋さん・大沢さん問題にも波及?

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140114/k10014469671000.html 喜多嶋さん、大沢さん関連のことを書こうと思っている訳ではないのに、三たび。

本日またまた、最高裁判所は彼らにも関係するであろう親子に関する新たな判断を示しました。
『血縁なければ「認知」無効も』
おおおお〜。
法務省はずーーーーーっと、「認知は血縁がないものは出来ない」との主張をしていたが(それゆえ「認知準正をしたい」との性同一性障害者の希望も却下された)
実際の「認知届」は一筆書くだけなので、血縁があるかないか市役所窓口で
「形式的審査」はできない。

それゆえ、法務省的に考えれば本来起こりえない「血縁がないのに認知」ということが起こり得ているわけである。
この判決の影響は実は喜多嶋さん、大沢さんはじめ「できちゃった婚」ケースにも大きな波及する可能性がある。
というのも、以前書いたように「婚姻後200日以内に生まれた子」は本来「母の非嫡出子」として届けられ、「認知するか否か」は夫が決める。認知した場合は認知準正として「嫡出子」として記載される。
大沢さんは今「親子関係不存在の訴」を起こしているそうだが、今回の判例を使えば「認知無効」として法的父親でなくなることもできることになるであろう。
何しろ「血縁がない」んだから「認知」そのものが無効なのである。
おっと待てよ。この間、性同一性障害の件では同じ最高裁第三小法廷が「血縁のみで父が決まる訳ではない」という判断をしたばかりだが、今回は「血縁のみが父」という。どっちやねん?という突っ込みがアチコチから聞こえてくる。
つまりここの判断の違いはまさに婚姻内の子(嫡出子)か婚姻外の子(非嫡出子)なのか。そこには「イエ制度」の名残が薄く見えてくる。
だが、現実にはこの境界は「できちゃった婚」の扱いの間口を広めた為にあいまいなものとなり、だからこそ矛盾を抱えることになっているのだ。
「できちゃった婚」での出生児数は少なくない。大沢さんのように「嫡出否認」が出来なくなると「親子関係不存在の訴」で法的父親であることを外すことは相手方の合意がない場合、極めて難しいと思われ邸えていた。逆に言えばこうしたケースに対し民法772条は非常に厳格に「子の身分を守る側」に経っているのである。
だが、今回の決定で「認知無効」を求めればできることがわかれば、大沢さんだって喜多嶋さんやお子さんがが同意しなくても法的父親をはずすここともできる、ということになる。(大沢さんのお子さんが婚姻後200日以内の出生かわからないのであくまで推定です)
しかし、これが出来るとなると波及の範囲は広く、さまざまなケースで問題が起こってくるような気がする。
またまた親子法は暗い闇の中に突き進んだという感。
本当に現実に即したフェアな親子法が必要である。
ってか、喜多嶋さんも大沢さんもワタクシに相談してくれたらねえ、誰よりも詳しく、いろいろ考えてあげますのに(笑)

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2014年1月12日 (日)

「誰が父か」〜フェアなルールを 喜多嶋&大沢問題再び

喜多嶋舞さんと大沢樹生さんの問題について再び。

まず「司法統計」を見てみよう。

平成17年 認知668件 嫡出否認439件 親子関係不存在2323件

平成23年 認知1207件 嫡出否認354件 親子関係不存在1362件

「認知」が+80%激増して、「嫡出否認」がー16%「親子関係不存在」がー42%激減している。

このことは何を物語っているのだろうか。

実は民法772条によって推定される「父」と事実上の父が違う場合、それを覆す為には上記のような調停・裁判の手続きが必ず必要である。

「父」が違う、ということが発覚する状況はさまざまなパターンがあるが、典型的なのは「離婚後300日問題」に関わった場合、である。

平成17年当時は「父」を覆すための司法手続きは「嫡出否認」か「親子関係不存在」しかなかったが、どちらも前夫に裁判所まで来てもらわなければならず、法外な慰謝料請求をされたり等のトラブルもよく聞いた。

その後「認知調停」が一般化されて、「離婚後300日」の人たちはそちらに流れた、と見るのが妥当な数字の見方であると思う。

もちろん「親子関係不存在」を行う人もまだまだいるとは思うが、この数字の激減ぶりをみると、この調停・裁判を行う人たちが抱える問題の複雑さに目がいく。

例えば喜多嶋さん・大沢さんのケースのように一定期間親子として過ごした後に、血縁関係がないとわかったケース。

また、60年ぶりに産院での取り違えがわかったケースも親子関係不存在の調停・裁判をしていたと週刊誌で読んだ。

ちなみいいえば喜多嶋さんは法の手続き的にみればなんら非難されるようなことはしていない。法律には極めて誠実、なのである。

しかし多くの人が思うように、法に誠実だからといって、人、この場合大沢さんに対して誠実であったかは疑問が残るところだろう。むしろ多くの方は不誠実だと言うのだと思う。

個々別の事情は本当にさまざま。民法772条は非常に杓子定規かと思うと全く持って杜撰だったり、「誰が父か」という人にとっては非常に大事なことを決めるルールがもはや婚姻と子の出生をめぐる現状(離婚の増加、事実婚、「できちゃった婚」、そして「不妊治療等医学の進歩」等々)に全くついて行けていないのだ。

つまり、今現在調停や裁判が行われている親子関係不存在の訴えの中には、学者や法務省の役人さんたち、裁判所のみなさんや政治家が考えつくような範疇ではない、もっと複雑でもっと深い問題があるような気がする。そしてそこを学ばないと、良い親子法制はつくれないのではないか。

今回の問題でお子さんには大きな負担であったと思うが、彼らはこの国の親子法制のあり方をも動かすような大きなインパクトを与えてくれたのだと思う。

「自分には関係ない話」と思っている人も多いだろう。

しかし、法的離婚が3分の1を越えているような状況の中で、今回のようなケースは誰の身にも起こりえることである。

実際相談業務をしていると「人ごとだと思っていたけど、まさか自分に来るとは!」という人がなんと多いことか。そして問題は「どの立場」で起こってくることかはわからない。

自分がや子がある日喜多嶋舞さんにも、大沢さんにも、息子さんにもなり得るのだ。

「家族」の問題は本当に難しい。

だからこそ、フェアなルールが必要なのである。

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2014年1月11日 (土)

喜多嶋さん・大沢さんの問題について

喜多嶋舞さん・大沢さん問題につき、取材が相次ぐ。

個人的な問題についてどうこういうことは差し控えさせていただきたいと思う一方、この件はワタクシが取り組んでいる民法772条について、極めて大きな指摘をしている内容でもあり、若干感想も含めて書いてみたい。
今回の問題の中心にある法律は「民法772条」である。そう、「離婚後300日ルール」を規定している法律。実はこの法律、同じ条文の中で「離婚後」だけでなく「できちゃった婚」についても決まりを定めているのである。
ワタクシは今回の大沢さんの悲劇はこの「できちゃった婚」についてのルールを、「法務省がなし崩し的運用してきたことよって生じた」とも解することが出来る、と思っている。
つまり、
①喜多嶋さんが懐胎したのは大沢さんと婚姻中ではない=民法772条第1項に当たらない
②喜多嶋さんが大沢さんと婚姻したのは妊娠三ヶ月以降=同法2項に当たる可能性(出産日が婚姻より何日目か正確にわからないのでここは推測です)
民法772条は第2項により婚姻前に懐胎した子について、出産が後婚200日以内の場合、後婚の夫を父としていない!!
つまりは他の男性が父である可能性があることを示唆しているともいえる条文となっている。
だからこそ「妻の非嫡出子」として届け出をするよう規定しているのだ。
後婚の夫が父となる場合は別途認知届が必要で、後婚の夫に「その子は本当に自分の子であるか」ということを熟考・確認する機会を与えているとも言える。
ちなみに同法第2項で並立して書かれている離婚後300日の場合は、「役所での認知届の提出」という簡単なものではなく、必ず家庭裁判所に出向き、調停・裁判を行わなければ父は確定出来ない。(除離婚後懐胎)「嫡出推定」をはずす作業があるとは言え、手続き上あまりに格差があり、いわゆる「できちゃった婚」に対する取り扱いの甘さが従前から指摘されて来た。
③法律が規定通りに運用されていたら、大沢さんの場合も「認知」の段階で「あれ〜?その時期、だぶってなかったか?」等々、冷静に振り返ってみることもできたかも、である。
④「できちゃった婚」で生まれた子の多くは後婚の夫の子であろうが、だからこそ「非嫡出子」としてではなく「認知準正」として出生届が出された段階で「嫡出子」と取り扱う運用がされているのであろうが、上記のように同じ772条2項内でもあまりに取り扱いが違いことも含め、立法の趣旨からこの運用自体が乖離した部分があるのだと思う。その影響を大沢さんも受けてしまったということなのだろう。
なお、これは推測となるが、幾多の相談を受けて来た経験をもとに言うと、喜多嶋さんは大沢さんを「騙そう」という気があったわけではないと思う。
父が誰かわからない場合は大抵は「産まない」という選択をする。しかし彼女はそうはしなかった。
純粋に大沢さんが父である、もしくは父であってほしいという気持ちがあったのだと思う。
悲しいこととなってしまったけれども、もし大沢さんに会う機会があるならばそう伝えたいな、と思う。
実子だったとしても、その養育から逃げる父はたくさんいる。
そんな中で大沢さんはこの10数年、幾多の困難にぶつかりながら父としてがんばってこられたことに対しても心から敬意を表したい。

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