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2015年7月13日 (月)

3重行政? 「財産区」と地方政治

先般、政務活動費の使い方について問題が指摘された議員の支持基盤を考えたとき、ふと頭によぎるのが「財産区」という制度だ。

財産区とは
地方自治法(294条~297条)に規定された行政組織であり、市町村合併の際にもとの市町村が所有や管理していた土地や財産を新市町村に引き継がずに旧市町村の地域で管理、処分するために設置された特別地方公共団体を差す。
財産区のではその財産の管理運用に当たる「議会」も設置でき、「財産区議会議員」は公職選挙法の規定が準用されるというものの、実際には地方議員の選挙以上に激しい選挙戦が繰り広げられるところもあると聞く。
もしかするとこうした政治風土を産む遠因にもなり得るのかもしれないという声もある中で、この春には日本経済新聞で「財産区」の特集が組まれていたことを知る。
以下、日経新聞より。
『豊富な財源、格差を助長 歴史の遺物「財産区」(1)
日本経済新聞(2015年3月3日)
「財産区」という名前を聞いたことがあるだろうか。山林、ため池、墓地など、主にかつて共有地だった不動産を維持・管理する特別地方公共団体だ。総務省の関心は乏しく、不祥事でもなければ動向が報道されることはない。それでも全国には今なお約4000の財産区があり、保有する土地の面積は1万8800平方キロメートルと四国を上回る。とりわけ大阪府と兵庫県に多く、近畿2府4県で1500超と4割近くを占める。
 財産区の多くは明治と昭和の2度の市町村大合併で誕生した。
1889年(明治22年)の市制・町村制施行に先立ち、国は江戸時代以来の入会地を次々と国有地や公有地として召し上げた。これに住民が反発。市町村合併が進まなかったため、財産区制度を設けて自主管理の道を開いた。
 戦後は合併を促す「アメ」として使われた。旧町村の公有地を合併時の協議で財産区に移すことを認めたのだ。財産区の数が159と全国で岡山市に次いで多い神戸市の魚崎財産区はこの代表。1950年に神戸市と合併した魚崎町(現東灘区)の保有資産を引き継ぎ、圧倒的な経済力を誇る。』 (以上引用)
そして
『240人で金融資産31億円 歴史の遺物「財産区」(2)』
『
 外湯めぐりで共存共栄 歴史の遺物「財産区」(3) 』
『小学生がつなぐ山の財産 歴史の遺物「財産区」(4)』
『入会地との線引き難しく 歴史の遺物「財産区」(5) 』と連載は続く。
この記者はなかなか鋭いところに目を付けたなと関心する。
さて、問題を指摘された議員の地盤は「住吉地区」というところである。
「財産区」とこの地区の違いについては、神戸深江生活文化史料館研究員道谷卓さんが興味深い研究を発表している。
『東灘を例に取りますと、 旧村ごとにほぼ財産区は存在しています。
本庄ですと、 深江、 青木、 西青木、 一つずつ財産区を持っておりますし、 本山も、 森、 中野、 小路、 北畑、 田辺、 田中、 岡本、 野寄が全部財産区を持っております。
魚崎の場合は、 全国でもめずらしい議会を持つ財産区です。
御影も財産区があります。
しかし、 住吉だけは、 財産区ではないのです。
住吉学園-村の共有財産を管理する財団法人 
住吉村は、 合併の時に、 非常に賢い選択をします。
繰り返しますが、 財産区とは地方公共団体です。
お金を使う時には市長の決済が要るのです。
住吉村の人達は、 住吉村自身でお金を使うことにこだわったのです。
ですから、 住吉村は財産区にはせずに、 住吉学園という財団法人をつくり、 そこに旧住吉村の財産を全部集めました。 
このあと、 だんじり(地車)のお話があると思いますが、 だんじりの祭りをする時には、 財産区からはお金が出せません。 政教分離の原則があるからです。 一種の宗教行事である祭りには、 公共団体である財産区はお金を出せません。
ところが、 住吉学園は財団法人ですから、 祭りにお金を使うことができるのです。 村固有の財産を自由に使うことができるという意味で、 住吉村は正しい選択をしたと思われます。』
http://www.gakugei-pub.jp/kobe/nada/index.htm#Mnada009
こうしたことについての指摘を、過去においては共産党が議会でも取り上げていたが、その後しりつぼみとなり、今、指摘をする人はいない。
選挙で不利になると考えているのであろうか。
日経新聞の記者が今年になってなぜこのことを取り上げたのか、その動機を知りたいところでもある。


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